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住宅ローン控除があっても、ワンストップ特例を使うなら、ふるさと納税の上限額はほとんど変わりません。変わるのは確定申告をする場合です。住宅ローン控除で所得税がほぼ0になっている人は、確定申告にすると上限額が大きく下がることがあります。
住宅ローン控除の1年目は、確定申告が必要です。この年はワンストップ特例が使えません。2年目からは年末調整で住宅ローン控除を受けられるので、ほかに確定申告の理由がなければワンストップ特例を使えます。
住宅ローン控除は、まず所得税から引きます。所得税から引ききれなかった分は、翌年度の住民税から引けます。ただし住民税で引ける額には枠があります。
2026年に入居した人の場合、この枠は「所得税の課税所得×5%」で、最高97,500円です。総務省が地方自治体に出した事務連絡で、令和8年から令和12年に入居した人について、こう案内しています。
住民税で引く住宅ローン控除は、ふるさと納税の上限額を決める住民税の所得割を減らしません。上限額の計算に使う所得割は、住宅ローン控除を引く前の額だからです。住宅ローン控除があるだけで上限額が下がるわけではありません。
それでも上限額が変わることがあるのは、所得税の側でふるさと納税と住宅ローン控除がぶつかるからです。
ワンストップ特例を使うと、ふるさと納税の分は所得税から引かれません。所得税で引かれるはずだった分も、翌年度の住民税からまとめて引かれます。
このとき所得税の額は、ふるさと納税をしてもしなくても同じです。所得税の課税所得も変わりません。だから、住宅ローン控除の引ききれない分を住民税に回す枠も、そのまま残ります。ふるさと納税と住宅ローン控除が、同じ枠を取り合うことがありません。
確定申告をすると、ふるさと納税は所得税の「寄附金控除」になります。寄附した額から2,000円を引いた額が、所得から引かれます。課税所得が下がり、所得税が減ります。
住宅ローン控除で所得税がもともと0に近い人は、ここで困ります。ふるさと納税で所得税を減らしても、どうせ住宅ローン控除で0になる所得税です。そのぶん住宅ローン控除の引ききれない額が増え、住民税に回ります。
ところが、住民税に回せる枠は「所得税の課税所得×5%」でした。ふるさと納税で課税所得が下がると、この枠も小さくなります。引ききれない額が増えるのに、受け皿は小さくなります。枠からあふれた住宅ローン控除は、どこからも引かれません。
結果として、ふるさと納税の所得税の分が、実質的に控除されない形になります。寄附額から2,000円を引いた額が全部戻る、という状態が崩れます。
逆に、住宅ローン控除の引ききれない額が、住民税の枠よりずっと小さい人は困りません。あふれる前に、枠の中に収まるからです。
このサイトの計算(2026年の税制)で、確定申告とワンストップ特例の上限額を比べました。前提は次のとおりです。
給与収入500万円だけの独身。社会保険料は給与の15%(75万円)。iDeCo・生命保険料・医療費などのほかの控除はなし。2026年に入居して、住民税の枠は所得税の課税所得×5%。この人の所得税の課税所得は177万円で、住民税に回せる枠は88,500円です。
| 住宅ローン控除の年額 | ワンストップ特例の上限額 | 確定申告の上限額 |
|---|---|---|
| なし | 57,000円 | 57,000円 |
| 15万円 | 57,000円 | 57,000円 |
| 20万円 | 57,000円 | 2,000円 |
| 30万円 | 57,000円 | 2,000円 |
上限額は1,000円未満を切り捨てています。確定申告の2,000円は、自己負担2,000円で済む寄附が、ほぼ無いという意味です。
この例では、住宅ローン控除が17万円を超えたあたりから確定申告の上限額が下がり始め、17万円台の後半でほぼ0になります。所得税の額と住民税の枠を足した額に、住宅ローン控除が届くあたりです。
住宅ローン控除30万円の人が、確定申告で57,000円を寄附した場合も計算しました。自己負担は2,000円ではなく、約7,600円になります。寄附した分が全く戻らないわけではありません。住民税の分は控除されます。戻らないのは、所得税の側で消えてしまう分です。
住宅ローン控除を受ける最初の年は、確定申告書を出す必要があります。国税庁がそう案内しています。2年目以後は、年末調整で住宅ローン控除を受けられます。
国税庁の「ワンストップ特例の適用確認シート」も、確定申告をする予定がある例として「住宅ローン控除(初年度)」を挙げています。確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は無効になります。申請した分も含めて、その年のふるさと納税を全部、確定申告に入れます。
つまり、入居した年の寄附は、確定申告の上限額で考える必要があります。上の例のように住宅ローン控除が大きい人は、1年目だけ寄附を控えめにする、という考え方もあります。
2年目以後で、医療費控除などほかに確定申告の理由がなければ、ワンストップ特例を使えます。寄附先が5団体以内であることも条件です。
住民税で引ける住宅ローン控除の枠は、入居した年で決まりが違います。地方税法の附則に、居住年ごとの決まりがあります。
2014年から2021年に入居した人のうち一定の場合は、枠が「所得税の課税所得×7%」で、最高136,500円です。2016年から2025年に入居した人は、5%を掛ける元の額に、所得税の基礎控除のうち48万円を超える部分が足されます。どちらも、2026年入居の人より枠が大きくなることがあります。
このサイトの計算は、小さい方の枠(所得税の課税所得×5%、最高97,500円)で計算しています。枠が大きい人は、実際の上限額が計算より高くなることがあります。枠の違いについては低めに出る側で計算しているので、この点で上限を超える側にずれることはありません。
住宅ローン控除の年額は、年末調整で受けている2年目以降なら、源泉徴収票の「住宅借入金等特別控除可能額」の欄で分かります。この額を入れて計算すると、ワンストップ特例と確定申告の上限額を両方出します。2つが違うときは、その差が画面に出ます。
住宅ローン控除を入れて上限額を計算する年収と家族を答えるだけ・2026年の税制で計算
1年目で確定申告をする人は、ふるさと納税の分も同じ申告書に入れます。作成コーナーで寄附金控除を入れる場所と、ワンストップ特例との関係は確定申告ナビで画面ごとに案内しています。