ふるさと納税と医療費控除|確定申告でワンストップは無効、上限額は少し下がる
医療費控除を受ける人は、確定申告が必要です。確定申告をすると、ふるさと納税のワンストップ特例の申請は無効になります。その年に寄附した分を全部、医療費控除と同じ確定申告書に入れてください。
上限額は少し下がります。医療費控除で課税される所得が減り、上限額の基になる住民税も減るからです。下の計算例(給与500万円)では、医療費控除10万円で約2,400円下がります。寄附を考える段階で医療費控除を受けそうなら、その額を入れて上限額を計算しておくと安心です。
医療費控除を受けるなら、確定申告になる
会社員は、ふつう年末調整で税金の精算が終わります。医療費控除は、その年末調整とは別に、確定申告で受ける控除です。国税庁は、給与所得者が医療費控除を受ける場合を、確定申告をすれば税金が還付される例に挙げています。
国税庁の「ワンストップ特例の適用確認シート」には、6つの質問があります。最後の質問は「確定申告する予定はないですか?」です。例として、住宅ローン控除の初年度と並んで、医療費控除が挙がっています。医療費控除を受けるなら、ここで「ワンストップ特例を使えない人」になります。
ワンストップ特例の申請書をすでに出していても、困ることはありません。確定申告をすると、その申請はなかったことになります。申請した分も含めて、その年のふるさと納税を全部、確定申告の寄附金控除に入れれば控除されます。逆に、申請したから入れなくていいと考えて寄附を申告から外すと、その分は控除されません。
医療費控除の条件:10万円か、所得の5%
医療費控除は、1月1日から12月31日までに払った医療費が対象です。自分のほか、生計を一にする配偶者や親族のために払った分も入ります。
控除の額は、払った医療費の合計から、保険金などで補てんされる額を引き、さらに10万円を引いた額です。最高で200万円です。その年の総所得金額等が200万円未満の人は、10万円の代わりに総所得金額等の5%を引きます。
給与だけの人で総所得金額等が200万円になるのは、2026年分の給与所得控除で計算すると、給与収入がおよそ297万円のときです。これより年収が少ない人は、医療費が10万円に届かなくても控除を受けられることがあります。
医療費控除とは別に、セルフメディケーション税制という特例もあります。1万2千円を超える部分が対象で、最高8万8千円です。医療費控除とどちらか一方を選びます。
上限額はどれだけ下がるか
ふるさと納税の上限額は、住民税の所得割の20%をもとに決まります。医療費控除は所得から引く控除なので、住民税の課税所得も同じ額だけ下がり、所得割が減ります。所得割が減れば、上限額も下がります。
このサイトの計算(2026年の税制)で確かめました。前提は、給与収入500万円だけの独身、社会保険料は給与の15%(75万円)、ほかの控除はなしです。
| 医療費控除の額 | 上限額 |
|---|---|
| なし | 57,000円 |
| 5万円 | 56,000円 |
| 10万円 | 55,000円 |
| 20万円 | 52,000円 |
上限額は1,000円未満を切り捨てています。この例では、医療費控除が10万円増えるごとに、上限額が2,400円ほど下がります。
医療費控除の額は、払った医療費そのものではありません。上の「保険金などを引き、10万円(または所得の5%)を引いた額」です。医療費を20万円払い、保険金の補てんがなければ、医療費控除は10万円です。
医療費控除を入れずに計算した上限額いっぱいに寄附しても、大きな損にはなりません。同じ前提で、医療費控除10万円の人が57,000円を寄附すると、自己負担は2,000円ではなく約3,600円になります。上限を超えた分は、控除が一部しか効かないためです。
年収が高めの人は、税率の区切りにも注意
確定申告をすると、ふるさと納税の寄附金控除で所得税の課税所得が下がります。医療費控除と寄附金控除で課税所得が所得税の税率の区切りをまたぐと、所得税の戻りが少し減ります。
例として、給与収入700万円の独身(社会保険料は給与の15%、ほかの控除なし)で、医療費控除が10万円の人を計算しました。式で出す上限額は105,000円ほどです。ところが確定申告でこの額を寄附すると、所得税の課税所得が税率20%と10%の区切りをまたぎます。自己負担は2,000円ではなく約4,300円になります。
このサイトの計算では、医療費控除を入れると、確定申告で寄附した場合の税金を寄附あり・なしの両方で計算し、このずれを含めた上限額を出します。上の例なら約83,000円です。
寄附はいつまでに、申告はいつまでに
医療費も寄附も、1月から12月までの1年分で計算します。2026年に払った医療費と、2026年に寄附したふるさと納税は、2027年の確定申告でまとめて申告します。
総務省は、寄附金控除を受ける確定申告を、原則として寄附した翌年の3月15日までと案内しています。国税庁によると、税金を戻してもらう還付申告は、翌年1月1日から5年間出せます。
医療費控除を入れて上限額を計算する
医療費控除を受ける予定の額を入れると、上限額をその分下げて計算します。12月に入って1年の医療費がだいたい見えてきたら、もう一度計算し直すと、寄附の残り枠が分かります。
医療費控除を入れて上限額を計算する年収と家族を答えるだけ・2026年の税制で計算
確定申告の進め方は、確定申告ナビで画面ごとに案内しています。医療費控除とふるさと納税は、国税庁の確定申告書等作成コーナーで同じ申告書に入れられます。ふるさと納税は「控除の入力」の画面で「ふるさと納税などの寄附をした方」から「寄附金控除」に進み、寄附金受領証明書の内容を1件ずつ入れます。ワンストップ特例を申請した寄附も、忘れずに入れてください。
所得税の寄附金控除になるのは、その年の寄附の合計から2,000円を引いた額です。寄附の合計は総所得金額等の40%までです。住民税の分は、寄附金控除に入れた内容から申告書の住民税の欄が作られるので、別に入力する必要はありません。マイナポータルと連携すると、ポータルサイトや自治体が出す証明書のデータを取り込めます。